京都市左京区S様の木の家注文住宅新築工事
はじめに
この度、京都市左京区にてS様ご家族の注文住宅新築工事をお任せいただくことになりました。 せっかくの機会ですので、いつものように家づくりの始まりから完成までの様子を、工事の進捗とともにブログでご紹介していきたいと思います。
S様と最初にお話をさせていただいたのは、2024年7月。
協力業者さんのお知り合いというご縁で、弊社にご相談いただきました。
ご依頼の内容は、築120年の茅葺きの家を解体し、敷地内を整理して新しい家を建てたいというもの。
ただ、現場は市街化調整区域という、基本的に建築基準法上新築の建物が建てられない地域にあたります。
そこで今回は、既存の母屋の離れを増築する形での申請を行うことで、建築が可能になることがわかりました。
とはいえ、120年間誰も手を入れてこなかった茅葺きの家と、その周囲の建物の解体からのスタート。
実際に茅葺きの家の解体は、私たちも初めての経験でした。
解体作業の大変さもさることながら、京都市の風致地区条例の制約にもかなり頭を悩ませました。
さらに、住宅ローンの審査でもさまざまな壁があり、正直「本当に着工できるのだろうか」と思う場面もありました。
それでもここまで進めてこれたのは、何よりも「この土地で新しい暮らしをつくりたい」というS様の熱意があったからこそだと感じています。
このブログでは、そんなS様ご家族の家づくりの記録を、工事の様子とともに丁寧に綴っていきます。
これから家づくりを考えておられる方にも、きっと参考になる部分があると思いますので、ぜひお付き合いください。
2025年7月1日 解体工事 着工

いよいよ本日、S様邸の解体工事が着工となりました。
着工に先立ち、6月中に事前準備として
・今お住まいの家へつながる水道管と電気配線を、解体しても支障のないよう切り回しする工事
・残すもの・処分するものの区分け作業
を進め、ようやく本日を迎えることができました。
今回解体するのは、120年前、明治時代に建てられた茅葺きの家。
中に入っている松丸太や大黒柱のケヤキも非常に立派で、時代を感じるものでした。
解体前に、せっかくなら古材として再利用できないかと、同業の知り合いに松丸太の活用を相談しましたが、すでに古材も在庫過多とのことで、やむなく処分することに。
また、台所の天井に使われていた竹も、煤竹(すすだけ)として再利用できるか竹屋さんに確認しましたが、淡竹(はちく)という種類で、パキパキに割れてしまうので再利用は難しいとのことで、こちらも処分となりました。
こうした古民家の解体は、ただ壊すのではなく、残す・使う・処分するを慎重に判断するところが大切で、今回も改めて学ぶことの多い作業となりました。